仕事はしていない。
仕事があれば、すぐ働ける。
仕事を探して、求人に応募した。応募したのは、国が調べた週より前だが、その1か月以内だった。
国が調べた週のあいだは、仕事を探す活動も、事業を始める準備もしていない。過去の求職活動の結果も待っていない。
二つの数え方を切り替えて、同じ一人の扱いがどう変わるかを確かめる作品です。
総務省の同じ表に、二つの人数が並んでいます。求職活動を「1か月以内」までさかのぼって数えた208万人と、「国が調べた週」だけで数えた185万人。差は23万人。
統計上の名前は、前者が「失業者」、後者が「完全失業者」です。
この23万人がどこにいるのかを探します。年齢でも、地域でも、事情でもないところに行き着きます。
仕事はしていない。
仕事があれば、すぐ働ける。
仕事を探して、求人に応募した。応募したのは、国が調べた週より前だが、その1か月以内だった。
国が調べた週のあいだは、仕事を探す活動も、事業を始める準備もしていない。過去の求職活動の結果も待っていない。
この数え方で、この人は数に入るでしょうか。
どこまでさかのぼって数えますか。
数えない。国が調べた週のあいだ、この人は仕事を探していない。
人物の記述は、一文字も変えていません。変えたのは、さかのぼる範囲だけです。
この二つの数え方には、それぞれ名前が付いています。
さかのぼるのが「国が調べた週」までのものを、完全失業者といいます。
さかのぼるのが「1か月」までのものを、失業者(詳細集計)といいます。
同じ一人が、前者では数えられず、後者では数えられます。
もう一方も押すと進めます
さっきの一人と同じことが、208万人の全体でも起きています。
同じ時期について、求職活動を「1か月以内」まで数えた208万人を、「国が調べた週」だけに狭めます。人数がどう変わるかを見てください。
どこまでさかのぼって数えますか。
208万人
消えた23万人に、何かが起きたわけではありません。
これは同じ時期の二つの定義による集計差であり、23万人の状態変化を示した数字ではありません。
二つの定義は、別々の目的のために置かれています。
もう一方も押すと進めます
二十三万人が誰なのかを、統計局の資料は書いていません。
年齢も、地域も、事情も。確認した範囲では、内訳そのものが載っていません。
見つかるのは、二つの定義文で重ならない、一節だけです。
いま体験した違いは、もとの定義文の中では一節だけの差です。
左は「国が調べた週」まで、右は「1か月以内」まで、求職活動をさかのぼります。図にある「調査週間」は、「国が調べた週」の正式な言い方です。左を「完全失業者」、右を労働力調査の詳細集計で使う「失業者」と呼びます。
同じ報道資料の同じ表に、次の二つが並んでいます。
労働力調査(詳細集計)2026年4〜6月期平均。総務省統計局。令和8年8月10日公表。
表の脚注には、定義もあります。
失業者:就業していなくて,1か月以内に求職活動を行っており,すぐに就業できる者
(「完全失業者」とは,「失業者」のうち「1週間以内」に求職活動を行った者)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf
差の23万人は、この作品の制作者が失業者208万人から完全失業者185万人を引き算して得た値で、統計局の公表値ではありません。この差に対応する独立した公式の項目名は、確認した原文にはありませんでした。内訳や要因の説明も、確認した範囲では見つかっていません。
完全失業者:次の三つの条件を満たす者
①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない。)。
②仕事があればすぐ就くことができる。
③調査週間中に,仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む。)。
総務省統計局「労働力調査 用語の解説」(2013年4月30日改訂)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/definit.pdf
条件③の「調査週間中」は、月末1週間を指します。
労働力調査では,以下の3つの要件を満たす者(従来の「完全失業者」の定義における求職活動期間「1週間以内」を「1か月以内」に拡張した者)を「失業者」とします。
① 就業していない
② 1か月以内に求職活動を行っている
③ すぐに就業できる
総務省統計局「未活用労働指標の解説」p.4
https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/mikatuyok.pdf
以下は23万人の内訳ではありません。1か月以内に求職活動をしたか、すぐ働けるかという別の条件で、失業者に入らない人の区分です。
原文では、就業者にも失業者にも入らない人のうち、潜在的に就業できる人を「潜在労働力人口」とし、「拡張求職者」と「就業可能非求職者」に分けています。
【拡張求職者】
① 就業していない
② 1か月以内に求職活動を行っている
③ すぐではないが,2週間以内に就業できる
【就業可能非求職者】
① 就業していない
② 1か月以内に求職活動を行っていない
③ 就業を希望している
④ すぐに就業できる
同「未活用労働指標の解説」p.5
就業可能非求職者の例には、「自分に合う仕事がない等の理由で求職を諦めた者(求職意欲喪失者)」が挙がっていました。あくまで一例で、就業可能非求職者の全員を求職意欲喪失者と呼んでいるわけではありません。
資料を追っても、23万人の内訳や、求職活動が1週間を超え1か月以内の人の属性までは分かりませんでした。表3「失業期間別失業者数」は、失業者208万人を「3か月未満/3か月以上」等に分けた表で、1週間以内と1か月以内の境界には対応していません。
確認日は2026年8月17日。確認した一次資料は、上記の統計局PDFです。そこにない数値や定義は補っていません。